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もしこんな表記をみたら、28番手の紡績糸が一本で撚られて編まれているということです。
左の数字が糸の太さを、右の数字は一本の糸が何本の糸で撚われているかを表しています(左右が逆のものもあります)
糸の太さは、数字が大きいほど細くなっていきます。
例えば、28/1よりも32/1の方が細い糸。という感じです。
正確に言うと
重さ1ポンド(453.6g)あたりの、糸の長さが840ヤード(768.1m)の何倍になるのか、です。
1ポンド=840ヤード=1番手
1ポンド=840×2=1680ヤード=2番手
このように重さは変えずに、長さが二倍になれば2番手、というように変化します。
1ポンドという重さに対して、どのくらいの長さが必要かという考え方を「恒重式(番手法)」といいます。
難しくなってきました……。
一般的には糸が細いものほど優良だといわれています。
なぜなら細い糸ほど繊細になり、光沢感が出たり肌触りが良くなっていくため、着心地のよい、美しくしなやかな生地を生むことができるからです。
ちなみにTシャツには10~20番手の糸が使われることが多いです。
30番手以上は艶のある滑らかな品質になっていきます。
80番手以上のTシャツは高級シャツと言われます。
3.5オンス~4.5オンスの生地は32/1~20/1で編まれていることが多く、
5.6オンス~6.2オンスくらいのヘビーウェイトの生地の場合、16/1~18/1で編まれていることが多いそうです!
もちろん素材や生地の織り方でも着心地は変わってきますので、これらの数字基準が全てではないのが難しい所です。
オンスってなんだろうと思った方は、こちらを読んでみてください♪ ≫oz(オンス)とは?
実は番手といいつつもその中には種類があります。
三つだけなのでここはサクッといきましょう!
種類 | 素材 | 算出方法 |
綿番手 (めんばんて) | 綿素材 | 1番手=1ポンド(453.6g)の重さに対して長さが840ヤード(768.1m)の何倍になるのか。 数字が大きくなれば糸は細くなる。 |
毛番手 (もうばんて) | 羊毛素材 | 1番手=1000gの重さに対して長さが1000mの何倍になるか。 数字が大きくなれば糸は細くなる。 |
麻番手 (あさばんて) | 麻素材 | 1番手=1ポンド(453.6g)の重さに対して長さが300ヤード(274.3m)の何倍になるか。 数字が大きくなれば糸は細くなる。 |
番手呼びされる糸に限った考え方ですが、綿、羊毛、麻素材は馴染み深いと思うので、参考にしてみてください。
「28/1」でいうところの右側の数字。
前述したとおり、一本の糸が何本の糸で撚われているかを表しています。
糸が一本の場合は「単糸(たんし)」、二本の場合は「双糸(そうし)」、三本の場合は「三子糸(みこいと)」と呼ばれています。
表記は「28/1」「28/s」「28s」「28/-」これらは全て単糸を表しています。
双糸は「28/2」「28/2s」。
三子糸は「28/3」。
覚えやすいですね!番手の話が嘘のような分かりやすさです。
※時々「28//2s」なんてものも見かけますが、28番手の単糸を撚らずに並べ、一本の糸として使用して生地が織られている、という意味です。「引き揃え」と呼ぶのだとか。
それぞれの特徴としては下記のようなところです。
単糸 | 紡績したままの一本の糸。 | ||
双糸 | 二本の単糸を撚り合わせた糸。単糸の倍の太さになり、強度は2.5~3倍になる。単糸よりも高価 | ||
三子糸 | 三本の単糸を撚り合わせた糸。単糸の三倍の太さになり、アウターやパンツに適した強度。 |
同じ太さではありますが、強度や肌触りなど品質の差が出てきます。
細くなるほど高価になるのは、加工時の技術や、そもそもの原料である綿の中から、繊維の長いモノだけを使用しているためです。
それを双糸や三子糸に使用したら、それなりのお値段になるのも納得。
単糸ではムラがでる場合でも、双糸になると太さが均一となりムラがなくなるだけではなく、強度はもちろん、生地にコシが生まれます。
双糸だけをおすすめするわけではなく、単糸にもいいところがあります!
ざっくりとしたカジュアルな風合いにしたい場合にはピッタリですし、糸の種類による違いもダイレクトに感じられるという良さがあります。
先ほどから時々出てくる「紡績」「紡績糸」についてお話しします。
なぜならなじみ深いTシャツによく使用される糸が、紡績糸なのです!
紡績糸の事を英語では、スパンヤーンやステープルヤーンといいます……かっこいい。
紡績糸とは、綿、麻、羊毛、化学繊維の短繊維といった、一本が短い短繊維(ステープル)を撚って長い糸にしたものです。
糸を原料から紡ぐという意味ですね!
最終的にどんな糸にするかで工程や機械が異なるので、今回はTシャツでよく使用されるカード糸、コーマ糸、セミコーマ糸へ加工されるまでを書いてみます。
それぞれの糸が出来上がるまではこのようになっています。
内容 | 工程で生まれるもの | 糸の種類 |
①綿花 原料。 |
– | – |
②混打綿 原料の中のゴミなどの不純物を取り除く。 繊維をほぐして均一な幅の厚さに整える。 |
ラップ。 ※厚さ1cmほどのシート状のかたまり。 |
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③梳綿(カーディング) もつれた繊維を一本一本の繊維に分離する。 櫛で方向をそろえてまっすぐに引きのばす。 |
スライバー(繊維束) ※ロープ状の綿の束。 |
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④練条 スライバーをさらに引きのばして繊維を平行にする。 |
スライバー(繊維束) ※ロープ状の綿の束。 |
– |
⑤粗紡 スライバーを細く引きのばし、撚りをかける。 |
粗糸 ※糸の赤ちゃん |
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⑥精紡 粗糸を引きのばしながらさらに撚りをかけるなど加工して、強度をもたせる。 |
リングスパン糸(=リング糸) ※リング精紡機によって紡績されたもの。 |
カード糸 |
コーマ糸 | ||
セミコーマ糸 | ||
オープンエンド糸(=空気紡績糸=OE糸) ※空気精紡機によって紡績されたもの。 |
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⑦捲糸 精紡された糸をさらに仕上げ加工する。 まとめられる工程。 |
チーズ、コーン。 ※円筒状、円錐状に捲き上げたもの。 |
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どんな種類の糸になるかは、③梳綿の後に一つ工程を増やしたり、⑥精紡の段階で使用する加工機械で変わります。
紡績の各工程の差で品質が決まると思うと、糸が出来上がるまでの大変さや企業努力のすごさがうかがえます。
大切に着ていきたいですね。
次のページから糸の特徴などを書いていきますよ♪